公道走行に必須な電動アシスト自転車の型式認定とは?アシスト比率が基準を超えるとどうなる?イマイチ分かりにくい型式認定やアシストについてわかりやすく解説!

坂道を簡単に登れる、長距離の移動の疲労を軽減できるなど、普通の自転車よりも便利な電動アシスト自転車。いわゆる「ママチャリ」と呼ばれるような見た目のものから、デザイン性の高いスポーツタイプのものまで、たくさんの種類があります。

そんな電動アシスト自転車ですが、場合によっては道路交通法を違反するおそれがあることをご存じでしょうか?

この記事では、公道で走ることが許可される電動アシスト自転車に付与される型式認定や、その型式認定を取得するために設定が必要なアシスト比率について説明していきます。

電動アシスト自転車の型式認定とは?アシスト比率が基準を超えるとどうなる?

型式認定を受けていないアシスト比率が基準を超えた電動自転車に乗車することは道路交通法違反となります。

なぜならば型式認定を取得していない電動自転車は電動バイクと同じ扱いになり、電動アシスト自転車ではなく電動バイクとして認定されるためです。

つまり免許証が必要になり、車道の走行、ヘルメットの着用、ウインカーの取り付け、自賠責保険の加入がそれぞれ義務化となるからです。

では、そもそも型式認定やアシスト比率とは何か?それぞれ解説していきます。

型式認定とは

電動アシスト自転車の型式認定とは、国家公安委員会が所管する道路交通法により定められた規制内容のことです。

道路交通法は道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に役立てることを目的として制定されています。

国土交通省が道路交通法で行っている主な規制内容は、下記のとおりです。

  • 交通ルール
  • 運転者の義務
  • 運転免許
  • 型式認定

型式認定の対象となるのは、電動アシスト自転車の他に、電動歩行補助用具や電動車椅子などです。

アシスト比率とは

アシスト比率とは、人が電動アシスト自転車のペダルを漕いだ時に、電動モーターが補助する力の割合のことです。電動アシスト自転車は、ペダルを漕いだ時にモーターがそれをアシストしてくれる仕組みとなっています。その強さをアシスト力と言い、それがどれくらいの割合でかかっているかをアシスト比率と呼びます。

アシスト比率の比率検査は日本車両検査協会(VIA)という機関で行います。

以下は日本車両検査協会の公式サイトからからの引用となります。

出典:日本車両検査協会(VIA)

この日本車両検査協会には日本で2台しかないダイナモシャーシメーターという測定器があり、車両のセットアップをすると車速とトルクに対する比率を測定できるようになります。

電動アシスト自転車のアシスト力は人力の2倍、比率にすると約67%が基準とされています。この基準は道路交通法の施行規則第1条の3で定められています。

この設定の基準に則ると電動アシスト自転車のモーターは、スピードが上がれば上がるほどアシスト力の比率が下図の数値内に収まるように設定される必要があります。 具体的な数字としては、時速10Kmまでを人力の最大1:2までを補助し、時速10km以上からアシスト比率を徐々に減らし、時速24kmでアシスト比率が0になるように設定します。(24Km以上はアシストが発生しません)

型式認定をする機関はどこか?

型式認定の審査をしているのは公益財団法人 日本交通管理技術協会です。

同協会の概要は下記のとおりです。

  • 交通管理に関する技術の研究開発及び普及
  • 自転車の点検整備等安全利用の促進
  • 道路における危険の防止
  • 交通安全と円滑及び道路交通に起因する障害の防止

同協会の型式認定の概要には下記のとおり記載されています。

1.型式認定の趣旨

型式認定制度は、道路交通法令(道路交通法施行規則第1条ほか)の規程により、型式認定対象品(原動機を用いる身体障害者用の車椅子ほか)に関する基準が定められており、これらの機器等が法令の基準に適合することを明らかにすることによって、利用者の便宜を図るとともに、これらの機器に関した交通安全対策の推進が図られるようにするための制度である。

公益財団法人 日本交通管理技術協会

利用者の安全と交通安全の推進を目的として、型式認定が制定されていることがわかります。

型式認定を受けていない電動アシスト自転車を使用した場合のリスク

ここでは型式認定を受けていない電動アシスト自転車を使用した場合のリスクについてご説明致します。

  1. 事故や怪我のリスク
  2. 警察に検挙されるリスク

 ①事故や怪我のリスク

アシスト比率が基準を超えた電動アシスト自転車は事故や怪我をするおそれがあります。

強すぎるアシスト力が不意に加わると急発進、急加速しバランスを取ることが難しくなり、転倒や周囲のものと接触する可能性があります。

②警察に検挙されるリスク

アシスト比率が基準を超えた電動アシスト自転車で公道を走行した場合、道路交通法違反で警察に検挙される可能性があります。

警察庁交通局交通企画課の広報資料によると、アシスト比率の基準に適合しない電動アシスト自転車は原動機付自転車等に該当するが、当該製品は保安基準に適合しないため道路を通行することができないとされているからです。

まとめ:比率試験を通った型式認定された自転車が安全安心!

型式認定を受けていないアシスト比率が基準を超えた電動アシスト自転車はとても危険です。

道路交通法違反で警察に検挙される可能性があるほか、大きな事故や怪我に繋がるおそれがあります。

自分の身を守るため、そして他人に危害を加えないためにも型式認定を受けた電動アシスト自転車を選ぶようにしましょう。

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